Ryzen CPUのエンコードに高速メモリは必要なのか?ワットパフォーマンス重視なら低速の方がいいかも

Ryzen 9 3900Xをドナドナして、再びRyzen 7 1700での運用となった我が家のメインマシン。主な用途はテレビ録画&エンコードで、たまにネットサーフィンする程度でゲームはほとんどしません。こんな使い方ではエンコードの速度を追い求めるよりは、消費電力をできる限り下げつつワットパフォーマンスを重視する方が賢明です。Ryzen CPUではメモリ速度が性能に大きく影響するためメモリクロックを重視することが多いものですが、実は高速メモリはワットパフォーマンスを下げてしまいます。お盆を直撃した台風のため外出できないため、暇にまかせてRyzenマシンのワットパフォーマンス設定を詰めてみました。備忘録代わりに投稿しておきます。

マシン構成は以下の通り。

【パーツ構成】
CPU:AMD Ryzen 7 1700
CPUクーラー:Thermalright TRUE Spirit 140 Power
マザーボード:MSI B350 TOMAHAWK
メモリ:Corsair VENGEANCE DDR4-2666 8GB×2(CMK16GX4M2A2666C16R)
SSD:KINGMAX Zeus PX3280
HDD:Seagate 3TB(ST3000DM008)
グラフィックボード:MSI GeForce GTX 1050 Ti 4G OCV1
電源:Enhance 800W(80 PLUS GOLD)
ケース:Silverstone RAVEN 2
その他:EARTH SOFT PT1×2

今回はエンコード速度を計測しつつ、ワットチェッカーを使ってアイドル消費電力とエンコードでCPUを100%使い切った状態での消費電力を計測します。私の使い方ではPCが稼働しているほとんどの時間が放送波の録画に使われており、録画中やその合間にエンコード処理することが多いため、録画中の低消費電力化も重要になってきます。そのため、エンコード時の消費電力だけでなくアイドル消費電力が重要ということですね。

Ryzen CPUはCPUのInfinity Fabricとメモリクロックが1:1で同期しています(ちなみに第3世代Ryzenはメモリクロックが3600MHzまではメモリコントローラーとメモリクロックは1:1、それ以上では1:2で同期するようです)。このためメモリクロックがゲーム性能だけでなくエンコード性能にも大きく影響を与えることが知られていますが、実はゲームに比べるとエンコード性能はほとんど向上しません。少なくとも私が使っているエンコードソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 6」では性能向上に比べると消費電力増によるデメリットが大きくなります。Ryzenと言えばひたすらメモリ速度追求という世間一般とはやや異なる私のような使い方ではメモリ速度なんて無用の長物なんですね。

そこでテレビ録画&エンコードでのワットパフォーマンスを最大化するメモリ速度をあらためて調査することにしました。なお、今回はCPUはRyzen 7 1700の定格クロックである3.0GHz(100×30)に固定し、CPUコア電圧はoffsetモード「-0.15V」、NBはOffsetモード「-0.1375V」、メモリ電圧は1.2Vという省電力性重視の固定条件下でエンコード速度及び消費電力を計測しています。

低クロック条件としてメモリクロックを2133MHz、標準クロック条件としてメモリクロックを2667MHzとし、それぞれどれくらいパフォーマンスが異なるのかを調べました。なお、エンコード速度は適当な動画2本を「リサイズなし、インタレ解除のみ」の条件でx264エンコードして時間を計測。エンコード時間の合計値の逆数をエンコード速度としています。

計測結果は以下の通りでした。システム全体の消費電力は、低クロック(2133MHz)条件ではアイドル時が47W、エンコード時が119W、標準クロック(2667MHz)条件ではアイドル時が55W、エンコード時が135Wでした。エンコード速度をエンコード時の消費電力で割った独自のワットパフォーマンス指数は、低クロック(2133MHz)条件が「15.95」、標準クロック(2667MHz)条件が「13.96」となりました。

ちなみに手元にあった3000MHz動作するメモリ(ただし4GB×2=8GB)を使って高クロック条件としてメモリクロックを3000MHzにして計測すると、アイドル時が55W、エンコード時が137Wで独自のワットパフォーマンス指数は「13.24」となりました。メモリ容量は16GBから8GBに半減していますが性能低下はなし。なんだ、メモリも8GBで十分なのかと拍子抜けしました。とはいえ、私のスマートフォン(OnePlus 6)のメモリ容量が8GBなのでPCのメモリは16GB以上は最低限欲しいと感じます(笑)

結論から言うと、エンコード時のワットパフォーマンスを高めるにはメモリクロックは低い方が良さそうです。私は大量の動画をエンコード処理するためエンコード終了をPC前で待つ、というような状況はほとんどありません。知らない間にエンコード処理が終わっているためそこまでシビアにエンコード速度は求めてはおらず、ワットパフォーマンスを重視するため2133MHzでの使用がオイシイという結果になりました。アイドル消費電力が55W→47Wとなるのも大きなポイントですね。ちなみに録画&エンコードしつつネットサーフィンする場合でも、メモリクロックの違いは実感できません。まったく体感を損ねることなく使えています。

世間では「Ryzenマシンのメモリは最低3200MHz、できれば3600MHzは欲しい」ということで高価なハイクロックメモリが人気ですが、私のような使い方ではメモリは低クロックでOK、OCメモリなんてトンデモナイ、というややアブノーマルな結果になりました。とはいえ高価なメモリが不要なので、ずいぶん安上がりな使い方といえそうです。

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