私が12コア/24スレッドのRyzen 9 3900Xを諦めて、8コア/16スレッドのRyzen 7 1700に戻したワケ

2019年7月7日の解禁日に手に入れた「Ryzen 9 3900X」。動画エンコードが主な用途のメインマシンのCPUとして、初代Ryzen 7 1700から換装したのですが、先日、Ryzen 9 3900XからRyzen 7 1700に再び戻すことにしました。どうしてRyzen 9を諦めたのかについて、書いておきます。

私のメインマシンにはEARTH SOFTのキャプチャボード「PT1」が2枚挿さっています。この2枚のボードで最大8番組を録画しつつ、裏ではTMPGEnc Video Mastering Works 6を使ってせっせと動画をエンコードするというのが主な用途になっています。

私がRyzen 9 3900Xを断念した最大の理由は、ベータ版のBIOSやチップセットドライバーの問題で、「PCがスリープ(や休止状態)から復帰できない」という大きな問題が解消されなかったからです。不定期で録画番組が発生する状態で、12コア/24スレッドのRyzen 9マシンを常時起動させておくわけにもいかず、これは致命的な問題でした。なお、現状ではRyzen 9 3900Xはアイドル状態をほとんど維持することができず、54Wのアイドル状態はほんの少しプログラムが走るだけで80Wを行ったり来たり。電気代で言えば大した問題ではないのですが、電力を無駄にしているというイライラは常時付きまとっていました。

さらに、Ryzen 9 3900Xのエンコード速度が速すぎる点も、意外な問題になっていました。これまでRyzen 7 1700でのエンコードは、ほぼ実時間程度かかることもあり、番組録画中にエンコードしつつ消化するのにぴったりな速さでした。ところが、Ryzen 9 3900Xはx264エンコードでは実時間の半分以下という爆速で、録画番組を早々消化してしまうことになり、先ほどのアイドル状態を維持できない欠点も合わさって、なんとなく性能を持て余している気になってしまいました。なお、x265でエンコードすれば実時間以上の時間がかかるため、無駄に持て余すという状態はなくなりますが、私の場合、再生環境の問題でH.265はまだまだ使い勝手が悪いため、これも現実的な代替策にはなり得ず……。

BIOSの熟成を待ってはいたものの、スリープ復帰できないという致命傷から、超ド安定だったRyzen 7 1700へと戻すことになりました。ちなみにBIOSもベータ版の「7A34v1OMbeta」から一つ前の「7A34v1M」に戻して従来通りの環境に整えようとしましたが、なぜかM-FLASHでルートにファイルが存在しないというエラーが出てしまい、ベータ版BIOSから変更できないというちょっとした問題がありました。BIOSファイルはフォルダに入れることなくUSBメモリのルート直下に入れるということで解決しましたが、以前のようにBIOSのZIPファイルを解凍したフォルダごとUSBメモリに入れる、という方法は使えないようで、注意が必要なようでした。

結局、約2週間ぶりにRyzen 7 1700に戻したわけですが、「これで十分だなぁ」というのが偽らざる感想です。そもそも私のマザーボードはB350 TOMAHAWKなので、Ryzen 9 3900Xはどこか無理があったのは否めません。CPUクーラーがThermalright TRUE Spirit 140 PowerでPCケースがSilverstone RAVEN 2なので、CPUとVRMの冷却は十分間に合ってはいたものの、やはりローエンドチップセットにハイエンドCPUというアンバランスさは、いびつだったといえるかもしれません(トマホーカー的にはロマン満載でしたが)

以上のような次第で、Ryzen 9 3900Xは今の私には持て余す代物でした。世界的にRyzen 9 3900Xの玉不足はひどいようで、ほとんど店頭に並ぶこともない状態のようなので、せっかくなら適当なオーナーのもとで活躍してほしいということもあり、早々ドナドナしました。ヤフオクに出品したところ、1時間とかからず定価で落札されました。落札者のもとで、バリバリとフル稼働することを祈りつつ、私は2年以上使ってきたRyzen 7 1700を、さらに使い倒すことに決めました。

ちなみに、65WのRyzen 9 3900(12コア/24スレッド)が登場するというウワサが聞こえてきています。仮に秋ごろにウワサのRyzen 9 3900が出れば……その頃はBIOSもチップセットドライバーも成熟しているでしょうから、再び手を伸ばすかもしれません。

Source:Wccftech

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