12コアRyzen 9 3900Xと8コアRyzen 7 1700のエンコード速度を比較、Zen2アーキの圧倒的な性能に驚く

Zenマイクロアーキテクチャ採用の第1世代Ryzen「Ryzen 7 1700」から、Zen2マイクロアーキテクチャ採用の第3世代Ryzen「Ryzen 9 3900X」にアップグレードしました。動画のキャプチャとエンコードをメインにしている私にとって、最も気になるのはエンコード性能。12コア/24スレッドのRyzen 9 3900Xの真価を図るべく、動画エンコード速度を比較してみました。

【パーツ構成】
CPU:AMD Ryzen 9 3900X
CPUクーラー:Thermalright TRUE Spirit 140 Power
マザーボード:MSI B350 TOMAHAWK
メモリ:Corsair VENGEANCE DDR4-2666 8GB×2(CMK16GX4M2A2666C16R)
SSD:KINGMAX Zeus PX3280
HDD:Seagate 3TB(ST3000DM008)
グラフィックボード:Sapphire NITRO RADEON RX 460 4G GDDR5
電源:Enhance 800W(GOLD)
ケース:Silverstone RAVEN 2
その他:EARTH SOFT PT1×2

◆Ryzen 9 3900@トマホークでのコア電圧の調整
エンコード比較する前に、Ryzen 9 3900X@B350 TOMAHAWKの省電力設定を軽く詰めます。普段、私はオーバークロックすることなくそのCPUの定格(ベースクロック)状態でCPUコア電圧を下げてワットパフォーマンスを上げるという設定で使用しています。大量の動画をキャプチャ&エンコードするので、オーバークロックでの一時的なパフォーマンスアップよりも、定格パフォーマンスをしっかり出しつつ低い消費電力で安定稼働させることを重要視しています。

今回はメモリをDDR4-2667に設定した状態で、CPUクロックをベースクロックである3.8GHz(100×38)設定に固定してコア電圧を下げていきます。あくまで簡易チェックということでCinebench R20を使ってエラーが出ない設定を探ります。1.1VではR20(マルチスコア)のベンチマーク計測は通りましたが、1.0Vではエラーが表示されました。結局、1.04Vでエラー表示が出ないことを確認しました。

ちなみに3.8GHz固定@1.04VでのCinebench R20スコアは「6762」でした。X370マザーボードでデフォルト状態でのスコアが「7164」だったので、スコアは5.6%減というところのようです。もっとも、私にとって大切なのはエンコード性能(エンコード速度)なので、ベンチマークスコアはあくまで参考値にすぎません。

本番はTMPGEnc Video Mastering Works 6を使っての動画エンコードテスト。Ryzen 7 1700ではOFFにしていた「AVX2」をONにした状態で、動画2本をx264エンコーダで同時エンコードして負荷をかけて様子をみます。

結果、CPUコア電圧が1.04Vでは途中でエラーをはいてしまい強制終了に。設定を見直して、コア電圧1.06Vでエラーをはかないことを確認し、マージンをとって1.07Vを指定のコア電圧と定めました。

◆エンコード性能比較
Ryzen 9 3900Xの設定も決まったところで、前任者のRyzen 7 1700との性能比較を行います。 Ryzen 7 1700とRyzen 9 3900Xはともに定格ベースクロックのそれぞれ3.00GHzと3.8GHzで計測。なお注意点として、Ryzen 7 1700ではAVX2をOFF、Ryzen 9 3900XではONにしています。

エンコードする動画は1440iのTSファイル3本(15分のアニメと45分のバラエティ番組2本)を、ソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 6」を使ってx264エンコーダー・インタレ解除(60fps化)という条件でエンコードして処理時間を比較します。CPUをフルに使い切るために同時処理2本でエンコードしますが、動画はアニメ1本+バラエティ番組1本の2本のエンコードが完了するまでの時間を処理時間としました(3本目の動画は、2本目までをCPU負荷100%で処理するための当て馬ということですね)。

結果は以下の通り。エンコード性能(速度)は大きく伸びていることが確認できました。なお、システム全体の消費電力は24Wのアップとなりました。

エンコード時間の逆数をとってエンコード速度を比較すると、定格(ベースクロック)の状態では、Ryzen 9 3900XはRyzen 7 1700の2倍以上高性能という結果となりました。

AVX2対応のおかげでH.265/HEVCを使ったエンコードでは、さらに差は大きくなりそうです。CPUコア電圧を絞った状態では、システムの消費電力自体もそれほど大きくなることなく、2倍の性能を得られるということで、動画エンコードを重視するユーザーにとって、12コア/24スレッドのRyzen 9 3900Xは圧倒的なパフォーマンスを実現できるCPUといえそうです。

“12コアRyzen 9 3900Xと8コアRyzen 7 1700のエンコード速度を比較、Zen2アーキの圧倒的な性能に驚く” への2件の返信

  1. こんにちは、楽しく読ませていただきました。現在3900xと3700xで迷っております。読ませていただいて、3900xをエンコードなどするときは、12コア使って、あまりしないときは8コアに制限するという使い方もありかなと思いました。そういう使い方でも有りなのでしょうか?電圧を下げるのもすごく良いと思いました。

    1. >さんたくんさん
      4コア殺して8コア(疑似3700X)でもよいと思いますが、消費電力はそれほど変わらないので、12コアの方が良い気はします。
      エアフローが十分で熱が厳しいという事情がなければ、やはり3900Xの12コアは魅力的だと思います。

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