Model 3の生産地獄を抜け出せずにいるテスラですが、財務状況の悪さから先行きの不透明さを指摘されるシーンが増えてきました。そんな中で、テスラ株にショートポジションをとるヘッジファンドのトップがテスラの株価の異常性を指摘しつつ、数カ月以内の破綻に賭けていることを明らかにしています。
発言の主はヘッジファンドVilas Capital Managementのマネージャーのジョン・トンプソン氏。2017年からテスラに対してショートポジションをとり続けているトンプソン氏は、2500万ドル(約27億円)を運用し、テスラをショートしていることで知られています。
トンプソン氏は、「企業とは結局、利益を生む必要がある。ここ(テスラ)で起こっていることは、私がかつて見たことのないものだ」と述べ、赤字続きのテスラの財務状況を「今まで見た中で最悪」のものだと酷評しています。
トンプソン氏の発言はポジショントークとも思えますが、テスラの財務状況や株価から見れば、妥当だと言える面もあります。例えば、テスラとほぼ同じ時価総額を持つ企業に、アメリカを代表する自動車メーカーのフォードが挙げられます。
テスラの株価の推移
フォードの株価の推移
ともに時価総額が400億ドル強(約4兆5000億円)の両企業ですが、フォードが2017年に600万台の自動車を売り76億ドル(約8100億円)の利益を上げたのに対して、テスラが売った自動車は10万台で20億ドル(約2100億円)の赤字。このような状況でテスラ株がフォード株よりも時価総額で高いという評価は異常だとトンプソン氏は考えているのです。
トンプソン氏は顧客に「テスラは疑うべくもなく、破産寸前になっている」というメールを先週末に送ったとのこと。そして、ムーディーズの信用格付けがBからCCCに下げられ、Model 3の生産状況が好転しない中で、資金調達が難しい状況であることを指摘したそうです。
トンプソン氏いわく、「フォードは”雨の日”をしのぐために120億ドル(約1兆3000億円)の現金を保有しているのに対して、テスラは3カ月以内に資金が尽きる可能性が高い。(テスラとフォードの株価を比較して)こんな不条理なものを、私はキャリアを通じてみたことがない」
テスラの株価は、将来性をどれだけ高く評価したとしても過大評価だという意見には賛成です。もっとも、赤字を垂れ流しても株価が上がり続けたAmazonの例もあるので、常識が通じないことなどない、とは言い切れません。EV時代の覇権を握るにせよ、時代のあだ花として散るにしても、テスラの未来がドラマチックなものになることは間違いないように思います。
Source:MarketWatch