Ryzen 9 3900Xのエンコード性能をクロック別に徹底調査、最もワットパフォーマンスの良い設定を煮詰めてみた

やっと週末が来て、Ryzen 9 3900X@B350 TOMAHAWKマシンを触ることができました。ベースクロックである3.8GHz@1.07Vという条件で使用していましたが、BIOSがベータ版で不安定な現状では、エネルギーロスが大きそうだという印象でした。そこで、クロック数を変更させつつ電圧を下げられる限界を試し、エンコード性能とシステム消費電力を調べて、最もワットパフォーマンスの良い設定をさぐりました。

Ryzenマシンは録画&エンコードが主な使い道なので、高いエンコード速度でありながらシステム全体の消費電力が低い状態を理想としています。そこで、BIOSでCPUのクロックとコア電圧を設定しているのですが、2019年7月20日現在のベータBIOSはこなれておらず、さらにはRyzen 3000シリーズ用のチップセットドライバがあまりに不出来なため、Windows 10システム下ではまだまだ粗削りな状態というのがRyzen 9 3900XをB350チップのトマホークで使ったときの印象です。

具体的にはBIOSでCPUコア電圧が0.8V以下に指定できない、BIOSのクロック・電圧が頻繁にデフォルトに書き換えられるというBIOS側の問題と、わずかな操作でCPUがブン回るためほとんどアイドルにならない、定格以下のクロックではエンコード時にCPUの負荷がかかりにくいというWindows 10側の問題が、私の使い方では不便なところです。なお、BIOSでは細かく設定できないCPUクロック数とコア電圧ですが、オーバークロックツール「AMD Ryzen Master」では細かく設定でき信頼性も高そうなので、今回はこのRyzen Masterでダウンクロック(アンダークロック)設定を煮詰めることにしました。

BIOSではクロック数は2200(100×22)MHz、CPUコア電圧0.8V(SoC電圧1.0V)、メモリはDDR4-2667(電圧オート)という条件でWindows 10を起動させてから、Ryzen Masterで設定を変更しました。なお、12コアはすべて同じクロックにそろえ、CPU電圧だけを下げていきます。エンコード性能は前回同様にTMPGEnc Video Mastering Works 6を使ってTSファイル(1920×1080・30分)をx264で2本同時にエンコードして、合計時間を計測し、その逆数をエンコード速度としました。また、システム全体の消費電力をワットチェッカーで測定し、エンコード状態で安定した数値を消費電力としました。

Ryzen Masterの簡易テストで通った設定でも実際にエンコードするとシステムはバンバン落ちます。30分の動画ですが25分以降にエラーを吐くということもあるため、より長い動画のエンコードでは一抹の不安も残るものの、以下のような結果になりました。実は2.8GHz以下のクロックもかなり試したものの、速度が出ないので今回は割愛しています。

この結果から、エンコード速度と消費電力の関係をグラフにすると以下の通り、3.4GHz(0.8875V)あたりがワットパフォーマンスが良好なことがわかりました。

なお、3.4GHzまで40℃台後半をキープしていたCPU温度ですが、3.6GHz以降は60℃を超えるレベルで、急激に発熱具合が悪化する傾向があるようです。12コア/24スレッドというスレッド数を思えば、あえて高クロックを追うことなく安定駆動させるために3.4GHz@0.8875Vで運用することにします。ただし、アイドル状態のピーキーさは大きな問題なので、BIOSとチップセットドライバーの熟成が進むまで、まだまだ設定は見直していく必要がありそうです。

~続き~
私が12コア/24スレッドのRyzen 9 3900Xを諦めて、8コア/16スレッドのRyzen 7 1700に戻したワケ – TECH-SURF

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